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Q15-6「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015」を紐解く

★★ Q15-6 TEP法とTAPP法の手術成績に差があるか?

Answer
TEP法とTAPP法の手術成績は手技に十分習熟した外科医が実施する場合には同等である可能性が高い(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」49頁より

解説

TEP法とTAPP法の手術成績を比較したメタアナリシスや大規模なrandomized control trial(RCT)の報告は現時点でない。

小規模(100例以下)なRCTで、TAPP法は入院期間が短く術後1日目までの疼痛が少ないという報告や、TEP法は漿液腫の発生は多いが陰嚢水腫の発生は少なく術後3ヶ月までの疼痛が少ないという報告があるが、手術時間、入院期間、合併症、再発、術後疼痛、日常生活や仕事への復帰期間に有意差はないという報告が多い。

また、気腹による術中の循環動態と呼吸機能の変化や、術中のIL-6、TNF-αの上昇も有意差はないと報告されている。

International Endohernia Societyのガイドラインでは、TEP法は血管損傷と手術のconversionが多く、TAPP法は臓器損傷、深部メッシュ感染、ポートサイトヘルニアが多いが、合併症発生率や再発率に有意差はないと報告されている。

EHSガイドラインでは腹腔内合併症の危険が低いTEP法をGrade Bで推奨しているが、TEP法で有意に合併症が少ないというデータはなく、術者の経験値が手技を選択するうえで一番重要な因子であると考えられる。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」49頁より
(ただし、太字への変更及び下線は筆者)

注記*

個人的に腹腔鏡外科医として腹腔内での手術を自分の専門分野として手術を実践してきたためTAPPを実践しています。

TEP法を深く学ぶ機会はこれまでにありませんでした。

良い手術であると思いますが、TAPP法で不自由を感じることはありませんし、TAPP法で困難な陰嚢型の巨大ヘルニアはTEP法でも困難であると思われます。

腹膜縫合も最初にデザインされた腹膜切開をおくことで安全に実施することが出来ます。

TAPP法は腹腔内到達法なので臓器損傷が、TEP法は腹腔外腹膜前到達法なので血管損傷が多くなるのは必然でしょう。

どちらも、その手技を十分に習熟した外科医が実践すれば手術成績は同等と言うことです。私の場合はTAPP法が得意なのでTAPP法を第一に選択します。

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