Q16「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015」を紐解く
★★★ Q16 大腿ヘルニアに対するふさわしい術式は?
Answer
腹膜前修復法である(推奨グレードC1)。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」51頁より
解説
大腿ヘルニアの治療で問題となる点は、術式ごとの成績の違いと併存鼠径ヘルニアの診断・治療をどのように扱うかという点にある。
唯一検索し得たRCTであるJie Chenらの報告(前方到達腹膜前修復法45例 vs 大腿法Plug群40例)によると、再発率、術後異物感、漿液腫形成の点において、前方到達腹膜前修復法は大腿Plug法に比し優れていた。
再発はPlug法40例中の4例に認めたと記されているが、再発形式は1例が外鼠径ヘルニアの見落とし、3例が新たに生じた内鼠径ヘルニアで、大腿ヘルニアとしての再発ではない。
大腿ヘルニアは鼠径部ヘルニア患者の2~8%と報告されてきたが、腹腔鏡下ヘルニア手術を行う外科医によると11%と報告され、腹腔鏡検査を行うと鼠径部ヘルニアの10%に認めたという報告もある。
大腿ヘルニアと鼠径ヘルニアの併存が少なからず認められるとすると、鼠径部ヘルニアの修復という観点から、腹膜前修復法は一般外科医も習熟すべき術式の一つである。
※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」51頁より
(ただし、太字への変更、及び下線は筆者)
注記*
診断能力は腹腔鏡検査が最も高いとするなら、腹腔鏡検査→腹腔鏡下ヘルニア手術で実施するのがreasonableではないでしょうか?
Plug法では見落しがあることが報告され、1回の手術で大腿ヘルニアと鼠径ヘルニアを治療できることには利点を感じています(手術侵襲がそれほど大きくないという前提で)。
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