ALOHA外科クリニック|そけいヘルニア(脱腸)日帰り手術 品川区 東京

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「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」を紐解く

はじめに

鼠径部ヘルニア、いわゆる「脱腸」「鼠径ヘルニア」は、日本で年間14~15万例(米国:80万例/年)の手術が実施されていると報告されています。

鼠径部ヘルニア(脱腸)は子供の病気と思われがちですが、むしろ成人に多く、手術以外に治療法がありません。

鼠径部ヘルニアには外鼠径ヘルニア・内鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア(その他閉鎖孔ヘルニアなども)といった種類のヘルニアがあり、また、両側に発生することもあります。

また、

ことなどから、より専門性のある疾患であることをご理解していただきたく、ヘルニアの専門家として一般の方々の疑問にお答えしたく思います。

「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」は、ヨーロッパヘルニア学会から発刊された成人鼠径ヘルニアガイドラインを参考に、EBMに準じた内容で本邦における一般外科医を対象とした構成となっていますが、「医療の進歩は日進月歩であり、このガイドラインが日本の鼠径部ヘルニア診療の道標の“入り口”に過ぎないことは明白である。

今後も改定を重ね、常に若手外科医をはじめとするすべての一般外科医の助けとなることを祈願しやまない(日本ヘルニア学会理事長 柵瀨 信太郎)」とのお言葉通り、私も今後の外科医への教育もさることながら、一般の方々への正しい情報提供をしていきたいと考えております。

今回医師向けの「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」に外科専門医・消化器外科専門医・指導医、内視鏡外科技術認定医、ヘルニア診療の専門家としての私の知識を加え、一般の方にもわかりやすい内容でお伝えすることを「紐解く」と言う形でHP上にて紹介させていただきます。

原著「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」
編集:日本ヘルニア学会 ガイドライン委員会

ガイドラインの内容をコピーしてCQ、answer、解説の順に引用した。解説の内容はあくまでも一般向けであり、一部は省略し、強調したい部分は太字に変更し、下線を追加しました。

CQ

クリニカルクエスチョンはガイドラインの目的とテーマですが、ALOHA外科クリニック院長の専門領域である成人カテゴリーのみを引用しました。

また、日常診療で質問されることの多い内容を★★★ ★★ ★ の3段階に分類し、星の順に並べ替えたうえで解説を加えました。

なお、以下の文中における「筆者」との記載は、当院の院長を指しています。

「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」において使用されている推奨グレードとエビデンスレベルは下記のとおりです。

推奨グレード

エビデンスレベル

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」4頁より

正確な内容を把握したい方は、原著の購入をお願いします。

ALOHA外科クリニック
院長 新谷 隆

★★★ CQ1 すべての成人鼠径ヘルニアは手術が推奨されるか?

Answer
嵌頓症例あるいは嵌頓移行の危険が高い症例は全例手術が推奨される。嵌頓の危険が少なく*¹、症状の軽い症例では十分な説明のうえでの経過観察も許容される(推奨グレードA)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」20頁より
(ただし、*は筆者)

解説はこちらをご覧ください

★★★ CQ2 すべての成人大腿ヘルニアは手術が推奨されるか?

Answer
すべての成人大腿ヘルニアは手術が推奨される(推奨グレードA)

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」22頁より

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★★★ CQ4 鼠径部ヘルニアと鑑別が必要な疾患は?

Answer

鼠径部膨隆、腫脹に関しての鑑別を要する疾患は

典型的な膨隆を伴わない疼痛や不快感について

(推奨グレードC1)

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」25頁より

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★★★ Q6-2 成人鼠径部ヘルニアを予防する方法はあるか?

Answer
確実な予防法はないが、適度な運動と喫煙が発生率低下に有用とされている(推奨グレードC1)

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」30頁より

解説はこちらをご覧ください

★★★ CQ7 成人鼠径部ヘルニアに対して推奨される手術の原則は?

Answer
再発率が低く、合併症の発生が少ない術式を、タイミングよく、効率的に提供することが推奨される(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」32頁より

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★★★ CQ8 成人鼠径部ヘルニアに対して手術成績に相違はあるか?

Answer
メッシュ法(腹腔鏡手術を除く)の手術成績には術式間で大きな差はなく、習熟した術式を行うことが勧められる (推奨グレードC1)

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」33頁より

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★★★ CQ10 成人鼠径部ヘルニアに対してLichtenstein法は推奨できるか?

Answer
成人鼠径ヘルニアに対してLichtenstein方は推奨できる(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」36頁より

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★★★ CQ11 成人鼠径ヘルニアに対してPlug法は推奨できるか?

Answer
Plug法は性別にかかわらず初発鼠径部ヘルニアにおいて推奨できる術式である(推奨グレードB)。
再発鼠径部ヘルニアにおけるPlug法は、推奨に足る十分なエビデンスは現時点ではなく、再発形態により適切な術式を選択すべきである(推奨グレードC2)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」38頁より

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★★★ CQ15 鼠径部ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術は推奨できるか?

Answer
手技に十分習熟した外科医が実施する場合には、鼠径部ヘルニアに対して腹腔鏡下ヘルニア修復術は推奨できる(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」44頁より

★★★ CQ15-1 腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較して早期回復が望めるか?

Answer
腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開組織縫合法やメッシュ法と比較して、手術時間が長いものの、術後疼痛、神経疼痛、慢性疼痛は軽度で回復が早い(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」44頁より

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★★★ CQ15-3 腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較して合併症は同等か?

Answer
腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較すると周術期合併症は同等または増加する可能性があるが、術後合併症は減少する(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」46頁より

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★★★ Q15-4 腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較して両側ヘルニアに適しているか?

Answer
腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較して早期社会復帰を目指す両側ヘルニアの症状に適している。
両側ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア修復術は再手術が高いという報告もあり、手技に習熟した外科医が行うべきである(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」47頁より

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★★★ Q15-5 腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較して医療コストは同等か?

Answer
腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較すると医療コストは高い。
腹腔鏡下ヘルニア修復術における術後疼痛の軽減、早期回復、早期社会復帰による社会的医療経済的側面からは優れているとする報告もある(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」48頁より

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★★★ Q16 大腿ヘルニアに対するふさわしい術式は?

Answer
腹膜前修復法である(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」51頁より

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★★★ Q26 妊娠中を含む成人女性鼠径部ヘルニアに対して推奨される治療は?

Answer
女性鼠径ヘルニアでは、大腿ヘルニアの確認および予防の観点から腹腔鏡下ヘルニア手術を含む腹膜前修復法が望ましい(推奨グレードC1)。
術前診断が大腿ヘルニアのみであれば大腿法を検討してもよい(推奨グレードC1)。
妊娠中はヘルニア嵌頓のリスクが低く、出産後の手術を検討してよい。ただし、嵌頓等の緊急手術の場合はこの限りではない(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」72頁より

★★★ Q26-1 女性鼠径部ヘルニアの手術適応は?

Answer
女性の鼠径部ヘルニアでは男性と比べ緊急手術、腸管切除の割合が高く、確定診断がつけば原則手術を検討することが望ましい(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」72頁より

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★★★ Q26-2 女性ヘルニアに対する術式は?

Answer
女性ヘルニアでは、大腿ヘルニアの確認および予防の観点から腹腔鏡下ヘルニア修復術を含む腹膜前修復法が望ましい(推奨グレードC1)。
術前診断が大腿ヘルニアのみであれば大腿法を検討してもよい(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」72頁より

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★★★ Q29-1 日帰り手術が適応となる術式は?

Answer
組織縫合法、Lichtenstein法、Plug法、TAPP法、そしてTEP法が日帰り手術の適応となる(推奨グレードB)。
また、Kugel法やDirect Kugel法も日帰り手術の適応となる(推奨グレードC1)。
Lichtenstein法は、両側同時手術であっても日帰り手術が適応となる(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」80頁より

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★★ Q3-1 身体所見以外の診断方法は何か?

Answer
身体所見の不明確な場合や症状から疑わしい例には超音波、CT、MRI、ヘルニオグラフィーなどから侵襲度などを考慮して行う(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」23頁より

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★★ Q6-1 成人鼠径部ヘルニア発生の危険因子には何があるか?

Answer
高齢、るいそう、反対側のヘルニアの既往、ヘルニアの家族歴、腹圧のかかる仕事や運動、経後恥骨的前立腺摘出術の既往、慢性的な咳、腹膜透析、喫煙、プロテアーゼインヒビターの服用、腹部大動脈瘤などが危険因子として報告されている(エビデンスレベルⅢ)

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」29頁より

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★★ Q12 成人鼠径部ヘルニアに対してBilayer法は推奨できるか?

Answer
Bilayer法は性別にかかわらず初発鼠径部ヘルニアにおいて推奨できる術式である(推奨グレードB)。
過去に腹膜前腔操作を伴う手術を行った後や再発鼠径部ヘルニアに対するBilayer法は、推奨に足る十分なエビデンスは現時点ではなく、個々の症例ごとに適切な術式を選択すべきである(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」40頁より

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★★ Q15-6 TEP法とTAPP法の手術成績に差があるか?

Answer
TEP法とTAPP法の手術成績は手技に十分習熟した外科医が実施する場合には同等である可能性が高い(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」49頁より

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★★ Q23 再発ヘルニアに対して推奨する手術術式は何か?

Answer
再発ヘルニアは初回手術術式がさまざまであり、推奨する特定の手術術式を示すレベルの高い報告はない。既往手術が腹膜前修復法後の再発では鼠径部切開法が推奨されるが、腹膜前修復法で治療されていない場合には腹腔鏡下ヘルニア修復術は手技に十分習熟した外科医が実施する場合において再発ヘルニアに適している(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」66頁より

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★★ Q25 若年男性に対する術式は?

Answer
メッシュ法が容認される(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」70頁より

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★★ Q29 「日帰り手術」の定義は?

Answer
「日帰り手術」とは、患者が同一の日に入院、手術、退院をすることである(エビデンスレベルⅥ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」79頁より

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★★ Q30-1執刀医の学年によって手術成績に差はあるのか?

Answer
初期研修医とそれ以降の学年の外科医の間には手術成績に差がある(エビデンスレベルⅢ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」82頁より

★★ Q30-2 腹腔鏡下ヘルニア修復術のlearning curveはどのくらいか?

Answer
TEPにおいて50~100例、TAPPでは50例以上である(エビデンスレベルⅣ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」82頁より

★★ Q31成人鼠径ヘルニアに対する医療費はどのくらいか?

Answer
直接的医療コストだけを比較すると鼠径部切開法を局所麻酔で行う日帰り手術が最も安価となるが、社会的医療経済的側面も考慮すると腹腔鏡下ヘルニア修復術も医療コストは削除される可能性がある(エビデンスレベルⅠ~Ⅴ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」84頁より

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★ CQ3治療前診断は身体所見のみで良いか?

Answer
典型的な膨隆を伴うものには身体所見のみでよい。疑わしいもの、非定型的なもの、治療においてより正確な診断を必要とする場合などでは他の診断方法を加える(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」23頁より

★ CQ5鼠径部ヘルニアはどの分類を用いるべきか?

Answer
日本ヘルニア学会鼠径部ヘルニア分類2009年改訂版を用いることが推奨される(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」26頁より

★ CQ6 成人鼠径部ヘルニア発生の危険因子と予防方法には何があるか?

Answer
高齢、るいそう、経後恥骨的前立腺摘出術の既往などがヘルニア発生の危険因子である。明確な予防法はない(エビデンスレベルⅢ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」29頁より

★ CQ9 成人鼠径部ヘルニアに対して組織縫合法は推奨できるか?

Answer
成人鼠径部ヘルニアに対して、原則的には組織縫合法は推奨できない(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」35頁より

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★ CQ13 成人鼠径部ヘルニア修復術に対し形状記憶リングメッシュを用いた鼠径部切開前方到達法による腹膜前修復法は推奨できるか?

Answer
推奨できる(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」42頁より

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★ CQ14 成人鼠径部ヘルニアに対してKugel法は推奨できるか?

Answer
Kugel法は成人鼠径部ヘルニアに対して推奨できる術式である(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」43頁より

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★ CQ15-2 腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較して再発率は同等か?

Answer
腹腔鏡下ヘルニア修復術は鼠径部切開法と比較して再発率は同等もしくは低いが、鼠径部切開メッシュ法と比較すると同等である(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」45頁より

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★ CQ17 成人鼠径部ヘルニアに対し推奨されるメッシュの材質は?

Answer
light weight mesh使用により、術後に違和感をきたすリスクが低下するが、再発率および重篤な慢性疼痛の発生頻度は変わらない。成人鼠径部ヘルニアの初回手術ではlight weight meshの使用が推奨される(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」20頁より

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★ CQ18 成人鼠径部ヘルニア修復術に対して推奨される麻酔法は何か?

Answer
術後合併症(尿閉)の回避および術後鎮痛や早期回復などの短期的視点に限ると、局所麻酔が全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔より推奨される(推奨グレードB)が、晩期合併症に関する長期的視点では各麻酔法に差はない(エビデンスレベルⅡ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」54頁より

★ CQ18-1 麻酔後合併症抑制においては有用な麻酔法は何か?

Answer
麻酔法別(局所麻酔、脊髄くも膜下麻酔、全身麻酔)の比較においては早期合併症(尿閉)の予防に関しては局所麻酔が優れるが、晩期合併症は差がない(エビデンスレベルⅡ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」54頁より

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★ CQ18-2 術後除痛効果において有用な麻酔法は何か?

Answer
術後早期回復、鎮痛持続時間の長さから硬膜外麻酔は全身麻酔に比較し有用である(推奨グレードB)。
局所麻酔は手術室滞在時間の短縮が可能で、術後の鎮痛持続時間が長く、患者満足度にも優れる(エビデンスレベルⅡ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」55頁より

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★ CQ18-3 麻酔への付随処置として有用なものはあるか?

Answer
脊髄傍神経ブロック(Paravertebral somatic nerve block)と腸骨鼠径・腸骨下腹神経ブロック(ilioinguinal-iliohypogastric nerve block)は同等の除痛効果が認められる(推奨グレードC1)。
腸骨下腹神経と腸骨鼠径神経に対する冷凍無痛処置は術後慢性疼痛を改善しない(エビデンスレベルⅡ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」55頁より

★ CQ19 成人鼠径ヘルニア術後に必要な生活指導は何か?

Answer
tension-free法の手術を施行している限り、日常生活への復帰は手術翌日から可能である。スポーツ活動には数週から数ヶ月で完全復帰できるとい報告があるが、明確なエビデンスはない(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」56頁より

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★ CQ20 慢性疼痛の定義は?

Answer
鼠径ヘルニア術後の慢性疼痛の定義は6ヶ月以上持続する疼痛とする(推奨グレードA)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」58頁より

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★ CQ20-1 術後慢性疼痛の危険因子は?

Answer
術後慢性疼痛の危険因子として、若年者、術前から存在する疼痛、ステイプルによるメッシュの固定などが挙げられる。腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術は鼠径部切開法(メッシュを用いたtension-free repairを含む)に比べ、術後慢性疼痛のリスクを軽減させる(推奨グレードA)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」58頁より

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★ CQ20-2 術後慢性疼痛の予防対策は?

Answer
術後慢性疼痛の予防対策は、鼠径ヘルニア術野での腸骨鼠径神経、腸骨下腹神経および陰部大腿神経の同定である(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」60頁より

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★ CQ20-3 術後慢性疼痛の治療法は?

Answer
他科との集学的アプローチが有効である。また、術後1年以上経過し、かつ内科的治療が奏効しない場合、外科的手術を考慮する(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」61頁より

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★ CQ21 予防的抗菌薬は術後のSSIを予防するか?

Answer
特別な併存疾患のない成人鼠径ヘルニアの予定手術(鼠径部切開メッシュ法)では、予防的抗菌薬による手術部位感染症の予防は限定的である。NNT(Number Need to Treat)=56。感染リスクの低い症例ではルーチンの予防的抗菌薬の使用を避けることを検討するべきである(推奨グレードB)。
両側鼠径ヘルニア手術、ドレーン留置、長時間手術等の感染リスクを考慮し抗菌薬の使用を検討してもよい(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」62頁より

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★ CQ22 再発、慢性疼痛、感染以外の術後合併症は何があるか?

Answer
男性不妊、周術期死亡率に関する検討が行われている(エビデンスレベルⅢ~Ⅳ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」64頁より

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★ CQ24 非還納性・嵌頓・絞扼性ヘルニアに特異的な治療方針や診断方法はあるか?

Answer
特定の状況下で有用と考えられる治療方針がある(推奨グレードC1)が、決定的な鑑別診断方法はない。

★ CQ24-1 非還納性ヘルニアの治療方針は?

Answer
6週以上経過している非還納性ヘルニアは注意深い経過観察でもよい(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」68頁より

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★ CQ24-2 嵌頓・絞扼性ヘルニアの治療法は?

Answer
腹腔鏡下ヘルニア修復術や腹膜前到達法による手術を考慮してもよい(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」68頁より

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★ CQ24-3 嵌頓ヘルニアの鑑別診断方法は?

Answer
詳細な身体検査をはじめ、各種検査を併用する。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」69頁より

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★ CQ25-1 鼠径ヘルニア手術は性機能に影響を与えるか?

Answer
鼠径ヘルニア手術は性行為中の鼠径部痛や射精障害等の性機能障害を改善させる。メッシュ法は男性不妊の原因とはならない(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」70頁より

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★ CQ26-3 妊娠中の鼠径部ヘルニアの診断と治療は?

Answer
妊娠中にかかわらず女性の鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアの鑑別には視触診以外に、バルサルバ法を用いた超音波検査が有用である(推奨グレードC1)。
妊娠中はヘルニア嵌頓のリスクが低く、出産後の手術を検討してよい。ただし嵌頓等の緊急の場合にはこの限りではない(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」73頁より

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★ CQ27 特定な患者への治療-重篤な基礎疾患を有する患者における鼠径部ヘルニア修復術の注意点は何か?

Answer
ワーファリン服用中患者では血腫をきたしやすい(エビデンスレベルⅢ、Ⅳa)。
血液凝固異常患者の術後血腫予防において、海外ではヒトフィブリン糊の使用が有用との報告があるが(エビデンスレベルⅡ)、本邦での保険適応は認められていない。
肝硬変合併患者においては統一された見解がなく(エビデンスレベルⅠ~Ⅳa)、慎重な適応が必要である(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」75頁より

★ CQ27-1 ワーファリン服用中患者への鼠径ヘルニア修復術は安全に施行できるか?

Answer
ワーファリン服用中患者では血腫をきたしやすい(エビデンスレベルⅢ)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」75頁より

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★ CQ27-2 血液凝固異常患者における鼠径ヘルニア修復術後の血腫予防法はあるか?

Answer
現時点で本邦における明らかな予防法はない(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」75頁より

★ CQ27-3 肝硬変患者への鼠径ヘルニア修復術は安全に施行できるか?

Answer
手術関連死・合併症を増加させるという報告があるが、非肝硬変患者との手術成績に差がないとの報告もあり、慎重な適応が必要である(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」76頁より

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★ CQ28 下腹部手術後の成人鼠径部ヘルニアに対して推奨される治療は?

Answer
腹膜前腔の剥離操作の少ない、鼠径部切開前方到達法によるメッシュ法が一般に容認されている治療法である(推奨グレードC1)。
腹腔鏡下ヘルニア修復術はその合併症頻度から十分な説明のもと習熟した外科医が行うエキスパートオプションである(推奨グレードC1)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」77頁より

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★ CQ30 成人鼠径部ヘルニア修復術教育におけるポイントは何か?

Answer
初期研修医(卒後1、2年目)とそれ以降の学年の外科医では鼠径部切開法によるメッシュ法における手術成績に差が見られる(エビデンスレベルⅢ)。
腹腔鏡下ヘルニア修復術におけるlearning curveはTEPで50~100例(エビデンスレベルⅣb)、TAPPでは50例以上(エビデンスレベルⅢ)であり、模擬実験に基づく教育は有用である(エビデンスレベルⅡ)。
また、Global operative assessment of laparoscopic skills-groin hernia(GOALS-GH)は有用である(エビデンスレベルⅢ)。(推奨グレードB)

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」82頁より

★ CQ30-3 鼠径ヘルニア修復術修得のために適したtoolはあるか?

Answer
腹腔鏡下ヘルニア修復術において、模擬実験に基づく教育は有用である。また、Global operative assessment of laparoscopic skills-groin hernia(GOALS-GH)は有用である(推奨グレードB)。

※「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン 2015」83頁より


鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015を紐解く

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